
Roger Nichols and The Small Circle Of Friends / Roger Nichols and The Small Circle Of Friends
ポール・ウィリアムズとのコンビでカーペンターズ「愛のプレリュード」や「雨の日と日曜日」などの名曲を残し、自身もアーティストとして“スモール・サークル・オブ・フレンズ”を結成し、名盤『スモール・サークル・オブ・フレンズ』をリリースした、作曲家/編曲家/マルチインストゥルメンタリストの
ロジャー・ニコルス(Roger Nichols)が死去。コラボレーターのポール・ウィリアムスや、作品の制作に関わった濱田高志が主宰するTV AGEがSNSで訃報を伝えています。現地時間5月17日の深夜に自宅で安らかに息を引き取りました。84歳でした。
ロジャー・ニコルスの名前を知らなくても、彼の曲は知っているでしょう。彼の作曲した曲は、カーペンターズ、バーブラ・ストライサンド、ダイアナ・ロス、ペトゥラ・クラーク、ジャッキー・デシャンソン、ボビー・ダーリン、ポール・アンカ、モンキーズ、そしてニコルズが最も頻繁に歌詞を共作したポール・ウィリアムズなど、数多くのアーティストによって歌われてきました。その中の多くの曲はアメリカン・スタンダードとなり、その代表例として「We've Only Just Begun」「Rainy Days and Mondays」「I Won't Last a Day Without You」「Times of Your Life」などが挙げられます。
日本での人気も高く、とりわけ渋谷系アーティストの信奉者は多く、彼の存在がなければ“渋谷系”や“ソフトロック・ブーム”はなかったとも言われています。
以下、ポール・ウィリアムズの声明より
「ロジャー・ニコルスと私が最初に書いた曲は“It's Hard to Say Goodbye(さよならを言うのはつらい)”というタイトルでした。...悲しいことに、その通りになってしまいました。ロジャー・ニコルスは4日前、美しい家族、妻のテリーと、彼がとても誇りに思っていた娘たちのクレアとケイトリンに看取られ、自宅で安らかに息を引き取りました。彼女たちは彼の夢の実現であり、彼の最大の喜びでした。
ロジャーは私のソングライティング・パートナーであり、音楽の師匠でした…長年共に創作した仲間であり、生涯の友人でした。A&Mレコード・パブリッシングと契約した時、私は仕事のない俳優で、音楽のキャリアを探していました。彼らはロジャー・ニコルスのための作詞家を探していたのです。それは私の人生を変える、とてつもなく幸運な出来事でした。
私たちは数年間、ほぼ毎日書いていました。彼は才能があるだけでなく、非常に規律正しい人でした。私はラッコのような集中力しかなく、3時間もすれば休憩したくなりましたが、ロジャーはそこからさらに4、5時間も作業を続けました。言葉は、彼が完成させた美しいメロディーから生まれました。私は聞こえたものを、音符一つ一つ、言葉一つ一つ書き留めました。歌詞は、すでに彼の音楽の中にある感情の中で待っていたのです。彼のおかげで、それはたやすいことでした。
素晴らしい実り多い年月を経て、私は彼と一緒に映画音楽を作りたいと思うようになりました。でも、彼には別の夢がありました。彼は“釣りがしたい…モンタナに戻りたい”と言いました。彼は微笑みながら、家族を持ち、素敵な小さな川のそばに家を作るかもしれないと語っていました…彼がすでに心ここにあらずなのは明らかでした。数年前、私は彼を訪ね、川沿いの家でテリーと娘たちに会いました。そして、彼は夢を叶えたのだと知りました。
最後に、もう一つだけ話せてください。昨年9月、娘のケイトリンが結婚することになり、ロジャーは本当に興奮していました。彼は笑いながら尋ねました。“車椅子に乗って、娘の手を引きながらバージンロードを進む僕を想像できるかい?”と。
もちろん、私はその時“はい”と答えました…。そして今、ロジャー、私はあなたの素晴らしい音楽に合わせてバージンロードを歩く数千人の誇り高い父親たちと、その美しい娘たちの姿を想像しています。“愛のプレリュード(We've only just begun)”の曲に合わせて父と娘がダンスを踊り、あなたが彼らの人生と私の人生にもたらしたものを称えて立ち上がり、拍手を送ったりしています。あなたは愛と美しさをこの世界にもたらしました。私たちは決してあなたを忘れません。
感謝と愛を込めて……ポール」
ポール・ウィリアムス SNSアカウント
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