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ローリング・ストーンズ「Time Is On My Side」のオリジナル・アーティスト、アーマ・トーマスがストーンズ版の影響と60年後のストーンズとの共演について語る

2025/05/27 19:11掲載
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Rolling Stones with Irma Thoma May 2, 2024
Rolling Stones with Irma Thoma May 2, 2024
ローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)が1964年9月にシングル・リリースした「Time Is On My Side」は、その数か月前の同年4月にリリースされた“ニューオーリンズのソウル・クイーン”ことアーマ・トーマス(Irma Thomas)のヴァージョンを聴いて録音したものでした。トーマスはその後、あることが嫌で、この曲を歌わなくなったという。それから60年後の2024年、ストーンズは公演にトーマスを招いて一緒にこの曲を演奏しました。トーマスはこの曲について英ガーディアン紙の新しいインタビューの中で振り返っています。

1964年、トーマスは若きランディ・ニューマンらが共作した「Anyone Who Knows What Love Is (Will Understand)」を録音しました。5月にリリースされたシングルのB面には「Time Is on My Side」が収録されています。「Time Is on My Side」は1963年にジャズ・トロンボーン奏者のカイ・ウィンディングよってインストゥルメンタル・ヴァージョンが初録音されました。このトーマスのヴァージョンの時に初めてヴォーカル・ヴァージョンが録音されました。

トーマスのヴァージョンは、ロンドンのソーホーの店で米国からの輸入盤をよく買っていたストーンズの目に留まり、彼らは聴いてから数日後の1964年6月にこの曲をレコーディングしました。ストーンズ版は米ビルボード・ポップシングルチャートで最高6位を記録し、ストーンズにとってアメリカで初のトップ10ヒットとなりました。

ストーンズ版は効果的でしたが、ミック・ジャガー(Mick Jagger)はトーマスのヴォーカルをアドリブも含めて完全にコピーしており、ガーディアン紙はヴォーカルについて「薄っぺらい模倣に過ぎない」と評しています。

トーマスはこう振り返っています。

「ストーンズがこの曲を録音したことは気にならなかった。ただ、観客が“ストーンズの曲を歌って”とリクエストするのが嫌だった。だから歌うのをやめました」

それから60年後、2024年5月のニューオリンズ・ジャズ・フェスティバルで、ヘッドライナーのストーンズがトーマスをステージに招き、「Time Is on My Side」で共演しました。海外のセットリストサイトsetlist.fmによると、ストーンズがこの曲をライヴ演奏するのは26年ぶりでした。当日ジャガーは観客に、この曲は1964年にトーマスが最初に歌ったものだと説明し、その後、二人が息の合った掛け合いを披露しました。

「ストーンズと共演して、見た目以上に幸せでしたか?」と尋ねられたトーマスはこう話しています。

「そうね。だってミックが観客に、私が最初に歌ったこと、彼らが私から学んだことを伝えてくれたから。彼は敬意を払ってくれたのよ。それだけが私の願いだった。1964年からたくさんのことを経験してきたから、彼らの観客の前でそんな風に認めてもらえて、本当に嬉しかった。本当に良かったわ」

■アーマ・トーマス版


■ローリング・ストーンズ版


■2024年ニューオリンズ・ジャズ・フェスティバルでの共演

バックステージでのリハーサル


当日のファン撮影の映像